聖女の情愛
すらっとした鼻筋、深く刻まれた眉間のしわ。長く伸びた前髪は左側に寄せられて、緩やかに揺れている。
腕を組みながら瞳を閉じているその姿は、眠っているのだと言うのに、難しそうな表情に思えた。
そんな彼を起こさないようにして、そっと近付いてくるのは、彼にとっては義妹であるカムイである。
マークスが執務の途中で居眠りをするだなんて、とても珍しい。そろりと足を忍ばせて、カムイはマークスの表情を伺う。
「……マークス兄さん…寝てる……」
静かな空間の中で、ぽつりと呟いたはずであったのだが、思ったよりも声が通ってしまって、彼女は慌てて口を閉じる。
こうして、眠りにつくマークスの姿を見ると、彼が普段からあまり休むことのないことを思い知らされる。
休むように願うことはいつもなのだが、その度に彼は優しそうに笑って頷くのみで、実際はあまり休んでいなかったのだろう。それでは、いつか彼が身体を壊してしまう。彼は戦いに慣れているからこそ、自分が休むべき時期などは把握しているだろうが、戦いに明け暮れることの多いこの日常は、少しの油断が切っ掛けで命を落とすこともある。
チェアに腰掛けたまま瞳を閉じて眠っている様子のマークスに、カムイは何か掛けるものをと思ったのだが、生憎にも手元にはなにもない。仕方ないので、何かを取りに行こう、とカムイは彼に背なを向け踵を返そうとした瞬間、彼女の手のひらは何者かの手のひらに包まれていた。
「きゃっ……!」
思わぬことにカムイが声を上げると、すぐにカムイの口元が大きな手のひらに抑えられて、声を封じられる。
この部屋にいるのは、カムイとマークスの二人きり。誰がやったかなんて、分かりきったことであった。
「に、兄さんっ……!起きていらしたんですか……?」
「ああ……おまえが部屋に入って来て、目が覚めた……しばらく瞳を閉じていたがな」
「お、起きていたならそう仰って下されば……」
きっと、カムイの悲鳴を抑えようとしたのだと思うのだが、いつまでも彼の手のひらが唇に触れていて、恥ずかしくてカムイはマークスのそれを外す。
マークスが眠っていたものだから、何か掛けるものを持ってこようと思ったのだが、彼が起きてしまったということで、カムイは困惑する。
「兄さん、お疲れになっているのではないですか?少し、休まれた方が……」
「……ああ、少しうたた寝してしまったようだ……いけないな。こんなことでは……」
「あまり休養を取らないのも、身体に悪いですよ。兄さん……」
マークスが疲れているというのならば、カムイはそれを癒してあげたいと思う。ここのところ、中々休むことが出来ずにいたため、さすがのマークスでも疲労は溜まっているだろう。
にこりと微笑んで、カムイはマークスの傍に寄ると、その様子に彼は少し迷ったように手のひらを伸ばしかけたが、すぐにその手のひらをカムイの腰に回し、抱き寄せる。
とても優しく触れてくる手のひらに、カムイはかっと顔を赤くさせたまま、彼の腕に抱かれる。そうして、カムイが大人しくなったことにマークスは瞳を細めると、彼女を後ろ向きに自らの膝の上に乗せて、その肩に顎を乗せる。
「…………休養は……おまえがこうして傍にいるだけで、充分だ……」
「っ……兄さん…」
カムイの唇から紡がれる言葉は、未だに彼を"義兄"と慕うものである。しかし、この二人は、長き戦いの中で想いを通わせて、その関係を義理の兄妹から、将来を共にする伴侶へと変化させていた。長い間、カムイを想い続け、それがようやく叶ったということで、マークスはこれまでの義妹に対する愛情から、愛しい女に対する愛情を持って接していた。
夫婦となってから、抑えていた感情を溢れさせるようにカムイに接してきたからなのか、彼女はマークスにたっぷりと愛されることに困惑していた。
普段から馬を乗りこなし、馬上より神器を振るうマークスは、身体つきももちろんがっしりとしていて、脚だってカムイのものとは太さが違う。そんな彼の太ももに、カムイは乗っている。そう思っただけで、彼女は緊張してしまう。
膝の上で、もぞりと身体を動かしたことに気がついたのか、マークスの手のひらがカムイの腰を撫でて、その大きな手のひらがカムイの太ももまで降りてくる。
「あっ……」
さすがのそれには、カムイは慌ててしまい、マークスの膝から降りようとするのだが、彼はそれを見逃さない。
カムイを愛すること、それがマークスの何よりの喜びである。
マークスの手のひらがカムイの太ももを撫でて、そのいたずらな手のひらが彼女のスカートの布地をたくし上げていく。そんなことをすれば、スカートがめくれてしまって、カムイの太ももが露わになってしまう。
「だめ、兄さん……下着が、見えちゃう……」
カムイが抵抗をしようと、腰をもぞもぞと動かしていると、背後でマークスがくすりと笑う声が聞こえた。
それに、カムイはびくりと身体を震わせると、あることに気がついて、彼女の顔が赤くなる。
彼の膝の上に乗っているから分かることなのだが、臀部に当たるものを感じてしまった。
熱くて、すこし硬いそれに驚いてカムイがマークスの膝から降りようとすれば、彼女の腹部にマークスの手のひらが周り、引き寄せられて、さらに熱さを感じることとなった。
もぞもぞと彼の膝の上で身を動かせば、余計に彼は腰を押し付けてきて、高まる熱が主張し始める。
さて、ここは彼の執務室であり、男女の情交にふけるような場所ではない。するりと服を脱がし始めようとするマークスのいたずらな手のひらを、カムイは止めようとする。
「に、兄さん……誰かが来たら……見られちゃいます…」
「……ふむ。そうか…」
「え……?きゃあっ……!」
膝の上から降りようと、カムイは抵抗するのだが、それをマークスは許さない。
服を脱がそうとしていたマークスであったが、それはやめて、スカートに手を掛けて、それをたくし上げていく。空いていた片方の手のひらで胸に触れようと服の中に手のひらを進入させれば、彼女の腰が震えた。
マークスに抱かれ、快楽を教えられたカムイは、この行為が気持ちのいいものだと植え付けられている。
彼に身を委ねるだけで、たくさん気持ちよくしてもらえる。服の中に入り込んだいたずらな手のひらがカムイの胸元をくすぐれば、彼女はそのたびに身を震わせ、マークスの猛るものを感じる。
「はっ……、あ、あぁ……そこ、だめです…」
「……ふむ。駄目か……ならば、ここはどうしてこんなに熱く溢れさせているのだ?すでにしっとりと濡らしていて……いけない子だ…」
「ああぁっ…やぁ!」
マークスの指先に、乳首をこりこりと弄ばれ、何度も刺激されて、そこに触れられることは気持ちのいいものだと教えられたカムイは、揺れる腰を止められない。
伸びてきた彼の指先がカムイの下着の上から秘部をなぞり上げれば、そこは下着の意味を成していないほど、じっくりと濡れていた。
下着の上からだが、一番快楽を得られやすいところを撫でられて、カムイはたまらず身悶える。それに乗じてだろうか、マークスは腰をカムイに打ち付けるように動かして、彼女の尻に熱いものを擦り付ける。
こうして、カムイにその存在を主張させれば、彼女はすぐに陥落する。普段、このようなことをする場ではないということもあるからだろうか、いつも以上にカムイのそこは潤ってマークスの服を濡らしている。
「はっ、はぁ、ァ……あぁ」
「……この場に誰かが来たら、このようにはしたない格好をしているおまえにも気付かれてしまうな……」
「あっ、いやっ…!」
「…なぁ、カムイ……この私に、どうされたいか……言ってみなさい。その可愛らしい唇で…私を求めよ」
「あっ、ン…、アッ…にいさっ…!」
カムイの耳たぶを噛み、耳の裏からその輪郭、再度耳たぶを口内に含ませて舌先で転がしたあと、耳の奥に舌を尖らせて進入させれば、カムイの腰が震えた。
特に強い刺激を与えたわけではなかったが、耳への刺激だけで達してしまったのだろう。耳がとことん弱いことは、マークスもよく分かっていたことであった。
しかし、直接的にマークスの手のひらで絶頂を迎えたとはあまり言えないそれに、彼は瞳を細める。
「カムイ……達したか?……あぁ、おまえから溢れてくる蜜で…私の服を濡らしているな……こんなにじっとりと……どうしてくれようか、カムイ」
「ひっ、あァ……あ…ご、ごめんなさっ…!んくっ!」
形のいい尻と、むっちりと柔らかい太ももを撫でさすり、下着の隙間をかき分けて直接秘部を撫であげれば、カムイはたまらず彼にもたれかかり、腰を大きく揺らした。
マークスの大きな手のひらが、カムイのそこに触れている。彼を求めて、ひくりと蠢めく入り口を軽く撫でられただけで、敏感に反応してしまう。濡れて意味を成していないカムイの下着を脱がし、彼女の片脚に引っ掛けたままにすると、膨らんだ自身を押し付けるように腰を穿つ。すると、秘部に当てられたマークスの指先に彼女は秘部を押し当ててきた。それにより、くちゅりと音を立てて、彼の指先が入り込む。
「ふむ……そんなに気持ちがいいか……仕方ないな……見ていてやるから、私の指を使って一人でしてみなさい」
「……ぁっ……!」
「ほら……中に入れても良いぞ……好きなようにしなさい…」
「ん、ンン…んぁっ…!そ、そんなっ……!」
普段、執務に当たるその部屋の中では、くちゅくちゅと水の音が響き、淫靡な雰囲気を醸し出している。
カムイに指示をして、彼女の秘部をいじっていた手のひらに彼女の手のひらを合わせると、カムイはマークスに言われるがまま、彼の太い指を膣に埋め込んでいく。
二本同時に彼の指を膣に埋め込んだカムイは、その太さに思わずきゅっとそこを締め付けてしまう。いつも、この指がカムイの気持ちのいい部分を刺激して、高みに上り詰めさせてくれる。
そう思っただけで、カムイは彼の太い指を締め付けながら、腰をゆらゆらと震わせる。しかし、マークスは指を彼女に貸しているだけで、直接的に触れてくることはしない。
その刺激だけでは物足りなくて、カムイのそこはきゅうきゅうと指を締め付けながら、マークスの空いている腕に手を伸ばす。
「にいさんっ……もっと気持ちよく、して……っ…」
「…………」
やはり、一人だけではうまく快感を得られることは出来ないようだ。
マークスは瞳を細めて、カムイの膣に埋められた二本の指を動かし始めると、そこがきゅっと締まった。身をのけぞらせ、小さく喘ぐカムイに、マークスの心が震える。
この清廉な彼女が、マークスの手技により乱れ、いやらしく求めてくるということに、どうしようもなく彼は興奮してしまう。この女が、もっと乱れ、喘ぐ姿を見ていたい。
その奥に進入し、翻弄させて、熱く迸る精を放ってやりたい。
マークスは、カムイに見えないところでにやりと口元をほころばせると、ぐちゅぐちゅと秘部をかき混ぜていく。
指を入れ替えて、中指と薬指を合わせて膣に挿入させて、そのまま、もっとも快感を得られやすい蕾の裏を叩きつけるように動かせば、カムイはたまらず首を振る。
「アアッ、そ、そんなにしたらっ!いやぁ、にいさんっ、やだぁ、、だめ!気持ちいいのっ!」
「駄目か……ふふ、身体はこんなに素直だと言うのにな……まぁ良い」
「ああぁぁ……!!やぁっ、いくっ、いっちゃうっ…!」
いつもより強すぎる快感に、カムイはぎゅっとマークスの指を締め付ける。
彼の厚い手のひらに蕾をぎゅうぎゅうと押しつぶされながら、中を刺激されては、カムイはその快感を堪える術はない。マークスの指先が入り込んでいることがよく分かるほど、カムイはそれを締め上げると、自らの身体の奥からせり上がってくる感覚に、泣きそうに瞳を閉じた。
「もう一度……達するといい、カムイ……」
「アッ、アアッ、んぁぁ…!!」
耳を舐めまわし、耳たぶをカリッと軽く噛めば、彼女は湧き上がってくる快感に瞳を見開く。
この強い感覚に引き込まれば、カムイはそれを止められない。
中指と薬指の二本の指で蕾の裏を強く押され、手のひらで蕾を押され続けたカムイは、マークスの指を締め付けながら、絶頂に達した。そこからは、勢いよく液体が吹き出し、マークスの手のひらや、机を濡らした。
自らの身体から出た液体で机を濡らしたことにも気がつかないほど、カムイは快楽に溺れ、マークスを求め始めている。
ヒクヒクと震える中から指をずるりと抜けば、カムイはぐったりと脱力して、マークスにもたれてくる。
すこし疲れている様子のカムイには悪いが、マークスの熱がカムイの中に入りたいと、主張していた。
マークスは、下肢を寛げて自身を取り出すと、絶頂の余韻に浸っているらしいカムイのそこに、熱き猛りを挿入させていく。
突然、太いものに身体を押し広げられる感覚に、カムイは瞳を見開いて、声を上げる。
「あああっ、兄さんっ……!」
「っく……あぁ、お前の中は暖かくて…気持ちがいい…」
「あ、ァ、は……」
彼のふとももを跨ぐようにして座っているものだから、いつもよりも彼の猛りが奥に届いて、カムイは無意識のうちにぽろぽろと涙を零す。
カムイの呼吸が治り、新たな快感を求めるように腰が動き始めたのを見て、マークスは下からゆっくりと突き上げ始める。
カムイの腰を両手で押さえ、いつものように容赦なく彼女を攻め立てると、あまりの強い快感にカムイは身悶えて、いやいやと首を振る。
「アァッ、いやっ、やぁっ…!にいさんっ、おく、奥っ…!」
「んっ……奥が…どうかしたか…?っは…気持ちがいいのなら、我慢せず、言うといい…っ…」
「気持ちいい!気持ちよくって、おかしくなっちゃうっ…!」
涙交じりに話すカムイに、マークスはふっと笑うと、そのまま彼女を追い詰めるように腰を動かしていく。
無意識に、マークスの精を一滴漏らさず受け止めようとしているのか、カムイのそこはきゅうきゅうと自身を締め付けて、搾り取ろうとし始める。
結合部からは、クチュクチュといやらしく水音が漏れて、そこから溢れる愛液がマークスの服を濡らしていく。
仰け反りながら、快感に耐えるカムイに、マークスはふっと笑うと、彼女と深く繋がったまま、机上にカムイの上半身を乗せて、彼女の背後から腰を打ちつけ始める。
こうして繋がった方が、マークスは勢いよくカムイを攻められる。
いつもとは違う場所での情交に、マークスも、カムイもどうしようもなく興奮していた。もう止められることなど出来ず、ただ彼女の奥に精を放ちたいという欲だけで、腰を進めていく。
「アァッ、はげしっ、にいさんっ、激しいっ…!」
「……っく……激しい方が、好みだろう…?……ほら、こんなにも私を締め付けて……っ……」
「あっ、ああ、ァ…!もうだめっ、またっ、いっちゃうのぉ…ッ…!」
「……っ……はぁ、カムイ…一滴残らず、飲み込め…!」
「あああっ、あ、あぁ…!」
搾り取られるように自身を締め付けられたマークスは、すでに限界が近づいてきた。それに、マークスはカムイを登りつめさせようと、勢いよく穿ち、カムイの締め付けを感じる。
まるで、マークスの精を欲しがるようにひくついたそこに、彼は勢いよく精を放つと、カムイの膣の中から漏れてしまわないように腰を打ち付けて、奥に押しやろうとする。
そんな間でも、深い高みに上り詰めたカムイは、はぁはぁと呼吸を繰り返しながら、びくっとマークスのものを絞め続けていた。
「はぁ……カムイ……」
そうして、満足したマークスは、カムイの膣から熱き自身を引き抜いて、ため息をつく。
たっぷりとカムイの中に注いだ精は、彼女の中には収まりきらなかったのか、内壁を通り、溢れ出てきた。
さきほどまでマークスを飲み込んでいたそこからゆっくりと零れ落ちてくる白い液体に、マークスは思わずごくりと唾を飲む。
長い白銀の髪は、マークスが荒々しく求めたことであろうか、少し乱れて、その頬は赤く染まっていた。
顔はまだあどけなさも残ってはいたが、いよいよ大人の女性としての魅力を溢れさせているような、カムイの姿。
聖女のような雰囲気すら持つ彼女が、愛する男に抱かれ、その膣からは、白く濁った液体を零している。
そんな姿を見てしまえば、猛りを失うかと思われたマークスのそれは、ゆっくりと熱情を孕み、首をもたげはじめるーー……。
「……カムイ……悪い……まだ、手加減してやれそうにない……!」
「!!っひぁ……!」
再び、カムイの中に押し入れば、彼女は高く鳴いて、マークスを深く感じ始める。
まだまだ収まることのない熱に、二人は身を委ねるのであった。
「だっ、ダメダメダメダメっ!!ぜったいにマークス様の執務室に行っちゃあ!!」
「え?ラズワルド、どうしてなの!ピエリ、頑張ってきたの。マークス様に言わなくっちゃ!」
「う、うん。ピエリは頑張った!僕もそう思う!けど、今はぜっっったいにマークス様のお部屋に行っちゃダメなんだ!」
「……ラズワルド、変なことばっかり言うの!ピエリ、もう行っちゃうの!」
「う、うん………しばらく、マークス様のお部屋に行っちゃダメだからね…」
「……ダメって言われると寄りたくなっちゃうの」
「……ピエリ、勘弁してよ……」
「変なラズワルド…まぁ、いいの。ピエリ、お料理してるの!」
「うん……お願い。僕もなんかお腹減ってきちゃった……はぁ」
マークスとカムイの二人が、執務室で情交に耽る一方、彼の臣下である青年が一人、胃を痛めていたことは、また別の話であった。
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あかつきさんのお誕生日祝いにに差し上げたマクカムSSでした。