いとおしくくちづけ

 身体中が心臓になったような気がしてならなかった。どきどきと高鳴り始めた鼓動はなかなか治まることを知らず、カムイはそれに身悶えて天幕の中に設置された寝台の上で小さく喘いでいた。

 天幕の中に響く音は、カムイのあげる嬌声と、荒い息遣い、そして次第に激しさを増していく水の音であった。

 その音を聞きたくないと言わんばかりにカムイは息を深く吐きながらふるふるとかぶりを振った。

 与えられる快感に喘ぎ、身悶えているカムイの姿に、彼女の上にのしかかっていたマークスがにやりと微笑んだ。

「ずいぶんと、気持ちがいいみたいだな…」
「ひっ、あ、、あっ…!だめ、やあっ…!」
「ふ……口も聞けぬほどいいと見える……カムイ、その快感に揺らぐ顔を良く見せてくれ…」
「あ、あ、ひぁっ、や……」

 さきほどから入り込んでいたマークスの長い指がカムイの秘めたる場所を攻め続ける。指先を曲げて、いちばん快感を得られやすいところをぎゅ、ぎゅっと押されると、カムイの息は更に荒くなって、あげる声も甘くなる。
 広げられた脚に力が入らず、的確に攻めてくるその指から無意識に逃れようとカムイは身を捩らせてしまう。
 あまりの気持ちよさにカムイは言葉を発することも出来ず、ただされるがままだ。
 中を擦り上げられながら、空いた親指で剥き出しになった蕾をぐりぐりと潰されたカムイは、それに耐え切れず、息を吐いて高みへと上り詰めようとする。

 あと少し、あと少しで快感の高みへと上り詰められる。
 そう思って、カムイは無意識にきゅっと中に入り込んだ指を締め付けてしまう。


「あぁ、あっ…!だめ、イっちゃう…!」
「……ふっ…」
「ああっ……あ……」

 あと少し、あと少しで高みへと上り詰められるのだ。その心地よさを何度も与えられ、その身を持って強い快感を知っているカムイは、それを享受しようとした。
 しかし、その快感は遠く離れていく。中はびくびくと震えているというのに、肝心の強い快感を得られなくて、カムイはマークスを懇願するように見上げる。
 その泣き出しそうな頼りない視線に、マークスは瞳を細めて笑うと、彼女にもどかしい快感を与えていく。

「いやぁ……やっ、あ、あ…」
「どうした、こんなにひくひくと震えて……もう限界なのか?」
「いや、ぁ…も、だめ、だめです…あぁん…!」
「表情もそのようにとけた顔を見せて……我が妻は何とも快感に弱いようだ……先程からここから蜜が溢れて止まらぬな……」
「ひっ、あ……あん…!」

 マークスの指がカムイの奥を蹂躙し続ける。カムイは、どうにか天幕の外には声を漏らさまいと、必死に耐えていた。





 遡るほど一刻ほど前、カムイは一人天幕の中で困り果てていた。
 そんな彼女は、用意していた小さな姿見に自分の姿を映し、ため息をつく。

「…ど、どうしよう…」

 カムイは一人呟くと、こぼれ落ちそうな胸元を必死に抑える。
 先ほど、鎧を新調し、新たな姿を見せようとしていた彼女であったのだが、一つとても困ったことがあった。
 かっちりと胴を覆った鎧から、少し露出のあるそれにしてみたはいいものの、用意された鎧と、カムイの胸の大きさが合わなかった。

 ある程度、小さいのならばまだマシであっただろうが、カムイが必死に抑えたそれは、いまにもこぼれ落ちそうなほど、ふるりと豊かな胸を主張させていた。
 胸元以外はぴったりと合っているというのに、胸だけが合っていなかったのだ。
 先日、採寸をしたときのことを思いながらも、カムイはあわあわと一人胸を抑える。

 このカムイという女は、普段より笑った顔はたいへん愛らしく、不思議な魅力を放つ女だった。その愛らしい顔立ちとは裏腹に、その身体は手足がすらりと長く、ぷるんと柔らかそうな豊かな胸を持っていた。
 見かけによらず女性らしい丸みを帯びているその身体は、彼女が思っているよりも魅了的である。
 鎧に収まりきれぬ胸をどうしようかと思っていると、不意に天幕の入り口が開かれて、カムイはそれにびくりと背を跳ねさせた。

「……ああ、カムイ…ここにいたのか」
「…っマークス、兄さん……」
「……二人きりなのだから、兄ではなく、名で呼んでくれ…」

 カムイはその声に反射的に背を向けると、胸元を隠すように抑える。マークスと呼ばれた男は、カムイの元へと一歩ずつ近づき、彼女がいつもと違う鎧姿であったことに瞳を細めた。

「……漆黒の鎧を身に纏うおまえは、とても美しい……似合っている。カムイ…」
「あ、あ、ありがとうございます……」
「…どうした、背ばかりを向けて…その姿を見せてくれないか?」

 ゆっくりと、背後にマークスが近づいて来る気配を感じた。それにカムイはびくりと背中を震わせる。
 カムイは、必死に胸元を抑えて、マークスの視線から隠そうとする。しかし、それは叶わず、カムイの抑える胸元がマークスの視界に入ってしまう。

「……ううっ…」
「………」

 乳房が彼女の腕の中で形を変え、窮屈そうに収まりきれずに溢れそうになっているそれを見たマークスは、眉間にしわを寄せた。
 そしてそれを見られてしまったカムイは、恥ずかしそうに耳まで赤くなり、胸を抱き締めたまま閉じた瞳の奥で涙を滲ませる。
 少しだけ長く感じられた沈黙を破ったのはマークスだった。

「……採寸はきちんとしたのか?」
「…や、やりました……けど、胸のところだけ間違ってしまったみたいで……」
「…他に合わないところは無いのか?」
「な、ないです…他はぴったりです……胸だけなんです……」

 サイズが合わず、窮屈そうに溢れている乳房を見て、マークスは瞳を細める。マークスとカムイの二人は夫婦という関係なので、気分が高まって肌を合わせる夜もあるが、改めてカムイの身体つきなどを見たことはなく、華奢な腰に比べて、ふくよかな胸元に彼の視線は釘付けだった。
 思い返せば、カムイはカミラほどとは言わないが、マークスの大きな手のひらに余るほどの充分な胸の持ち主だ。顔は清楚で、夜の睦言など知らなさそうな彼女がこんなにも立派な胸をしているとは、誰も思わないだろう。

 なんとか収めようとして、胸部を保護する胸当てから溢れそうな勢いでいるそれを、マークスは右の手のひらで胸当ての上から触れる。

「きゃっ…!」
「……この鎧は…すぐに脱がされてしまいそうだな」
「えっ、あ、何を……!」
「こうされたら…もう抵抗は出来ないな?」
「やっ…!」

 軽量化を計るためか、肌を露出させた部分が多いそれは、逆に無防備さを誘うものである。
 マークスはカムイの収まり切れていなかった乳房を胸当てから外すと、その大きなふくらみを右の手指でそっと包む。夫婦となり、マークスによって営みを隅々まで教え込まれたカムイは、これから先の事を思い出し、下肢をきゅんと響かせる。

「……私はおまえの身体については、あまり気にしたことはなかったが…改めて見ると清楚な顔に似合わぬ身体つきで、男を誘わせる」
「…ひぁ……んん…」
「感じているのか?…いつからそんなに淫らな姿を見せるようになったのだ…仕方ない女だな…」
「だ、だって、マークス様に触れられたら…あんっ…!」

 左の乳房もマークスによって露わにさせられたカムイは、マークスの大きな手のひらに胸を弄られているその光景を見て、もどかしそうに脚をすり合わせる。
 何も知らなかったカムイであったが、マークスに初めて抱かれて、それから何度か肌を合わせたが、ここのところ、それにも慣れてきて与えられる快感を受け取りやすくなってきたのか、自分でも驚く身体の変化に戸惑っていた。
 彼の長くて無骨な指が乳房を揉みしだき、その先の頂をこりこりと刺激されれば、カムイはいよいよ立っていられそうにない。マークスにもたれたまま腰をくねらせれば、それに気がついたのか、マークスが背後で笑った。

「あぁ……気持ちいい、です。そんなに触らないで下さい…あん…」
「ふっ……いやらしいものだ…」
「ひぅっ…!」

 快感を誘うように胸を揉みしだかれては、カムイはその快感に抗えなくなってしまう。マークスにやめてもらおうと懇願するものの、マークスは楽しそうに口元を綻ばせると、そっとカムイの下肢に手を滑らせて、頼りなくそこを守る布地をかき分けて、濡れそぼっているであろう秘所へと指を侵入させる。
 すると、案の定そこは充分に濡れていて、マークスはそれに口元を緩める。
 しかし、どれだけ濡れているのかを確かめたにすぎないマークスは、再びカムイの胸に手を這わせ、そこを揉みしだいていく。
 揉みしだきながら、親指と人さし指でくにくにと乳首をこね回せば、カムイはびくりと腰を仰け反らせ、白い喉を晒す。
 あと少し、あと少しでもマークスの指に触れられれば、カムイは高みに上り詰めてしまいそうだ。そんなことを思って、カムイが彼に身体を預け始めたときだった。

「……っと…これから所用があるのだ。悪いがそちらに行かなくてはならない」
「…ぁっ……!」
「…いい子で待っていたら、ご褒美をくれてやる。ではな、カムイ…」
「っ……!!」

 カムイが求めようとした快感はどこへやら、マークスはそのまま天幕を後にすると、完全に身体に火がついてしまったカムイを一人残してしまう。
 それに、カムイは呆然としたままその場に座り込むと、身体に溜まった熱をどうしようかと、ただただ困り果てた。マークスに慣らされたこの身体は、早くこの熱を解放させたくてたまらず、もどかしさに涙が出そうになる。
 カムイの想いもかなわず、マークスは姿を消してしまったため、彼女は呆然としながらも寝台に腰を掛けた。
 まだ、身体は熱くてたまらない。マークスに女としての快感を教えられたカムイは、この燻る熱をどうしようかと泣きそうになった。そのままカムイは寝台の上に横になると、脚の間に感じる濡れた感覚に身を捩らせた。
 あの時、もう少しマークスの指が胸を弄ってくれたら、それだけでカムイは絶頂を迎えてしまいそうだった。あの長くて無骨な指がカムイの胸を揉みしだき、触れられたくて主張しているふくらんだ蕾を弄ってくれたら、と彼女の頭の中では、マークスに弄られる姿を想像するしてしまう。
 そんなところを想像するだけで、カムイのそこは濡れそぼり、彼を受け入れる体勢をとってしまう。

「……んっ、はぁ…」

 マークスなら、どんな風に触れるだろうか。そんなことを思いながら、カムイはゆっくりと下肢に手を伸ばして、まだ触れられてない蕾に触れ始める。股を包む黒色のその布地は、これまでマークスに触れられたこともあったのか、下着すらも通り越してしっとりと濡れてしまっていた。
 いつからこんなにはしたない女になってしまったのだろうとカムイは思いつつも、下肢を弄る手を止められない。
 蕾を撫で回して、空いた手のひらで自らの胸を揉み、乳首を弄ってみるのだが、いざ自分でやろうとするとマークスから与えられるような快感は得られなかった。
 それにカムイはもどかしそうに眉間にしわを寄せながらも、黒の布地をかき分けて、直接蕾に触れ始める。


「あっ、あっ、マークスさま…!」


 あの手のひらが胸を揉みしだき、下肢を弄り、はしたなくここが濡れていることを耳元で囁かれる姿を想像して、カムイの感情は高まってくる。

 いつしか、カムイは腰をゆらゆらともどかしそうに揺らしながら、自慰を続けてしまっていた。あと少しで高みにも上り詰められそうだ。
 そう思って、カムイは指の動きを早めたときだった。

「…カムイ…?」
「っ!!!」

 用事を終えて、戻ってきたマークスに、一人で弄っているところを見られてしまって、カムイは一瞬にして身体の熱が引いた気がした。こんな、はしたない女だと思われてしまっては、さすがの彼も愛想を尽かすかもしれない。
 カムイはマークスと目を合わせられず、そのまま泣き出しそうに瞳を潤ませる。
 そんな彼女を見て、マークスは口元を綻ばせると、自慰をして濡れたカムイのそこに、長い指先を伸ばす。

「…我慢が出来なくて一人でしていたのか?」
「…ぁ……」
「…いやらしい子だな……ここ、こんなに濡れてしまっている。もしも私以外の誰かが天幕に入ってきたらどうするんだ?…はしたないおまえの姿を見て、身体に触れてしまうかもしれない。私以外の男のものを、ここに受け入れたかもしれない。…ん、カムイ…そんなことは考えなかったのか?」
「っひ、ひぁぁ…!」
「いやらしい妻は、快感に弱いようだ……どんどんここが濡れて、あまつさえ布地の色も変わっているぞ…気持ちいいか?一人では達せなかったのか?」
「ぁ、あぁぁ……」
「あぁ、駄目だ……ここから先の快感は、私のもので与えてやる……待ち望んでいたのだろう?初心なおまえが私のものを受け入れ、淫らに変化していく姿が愛おしくてたまらない……」

 カムイの耳元を嬲るように舐めまわし、マークスはカムイを脚を開かせると、触れてほしくて震える蕾を指先で弄りだす。
 しかし、肝心の熱は治るどころか、むしろカムイの身体は熱くなっていく。
 そんなカムイに、マークスは瞳を細め、彼女の耳元に口付けた。

「…ん……そうだな。カムイ、私の前で先ほどの続きをしてくれないか。どんな風に弄っていたのだ?どこに触れると気持ちがいいんだ?」
「ひあっ…!」

 そう言って、マークスはカムイから手を離すと、彼女の手のひらを下肢に移動させて、目の前で自慰をするように言いつける。
 これまで、カムイはもちろん一人で身体を慰めたことなどないし、どんな風にすれば快感を得られるのかなどはわからない。それでも、マークスに言われると、カムイの指先は先ほどまで弄り倒していたそこに触れて、腰を揺らし始める。
 カムイの頭の中では、マークスに覆い被され、下肢を弄られ、耳元で囁かれる姿を思い浮かべている。
 それを想像するだけで、カムイの身体の熱は高まってきてしまう。早く快感を受け取りたくて身体が疼いていたのだろうか、一人で弄り始めてすぐに、カムイは軽く達してしまう。

「はっ、はうぅ…!」
「…もう達してしまったのか?早いな……しかし、この鎧は無防備すぎていけないな…胸もそうだが、ここも尻が露出していて……男は見てしまうぞ」
「あ、そ、そんなつもりは…!」
「マントで隠れるからいいと思ったのか?だがな、カムイ。おまえが戦場で駆け回るたびに、マントが揺れてここが見えてしまう。戦時中、男は中々自分の欲を制御できない。そんな中…女の肌を見たら、どうする?」
「ど、どうするって…!」
「その女のやわ肌に触れ、欲をぶつけたくなる。ましてや、戦が終わった後などは気分が高まっているものだ。いつも以上に女に手酷く触れたいと思う者もいる」
「あっ、あっ、だめっ…!」

 男女のことについては無知だったカムイに色々教え込んでいたマークスは、彼女の無防備さについても告げる。そのまま、カムイの蕾を弄りだすと、彼女はあっという間に高みに上り詰めてしまった。

 股を濡らし、はぁはぁと息を荒くさせるカムイに、マークスは鎧を身につけたまま、下肢だけを寛がせて自身を取り出すと、カムイの股布を力任せにかき分けて、もう準備の整ったそこに挿入させていく。

「あっ、あう!いやぁ…!」
「くっ……カムイ、力を抜け……」
「っう、あぁ…!」

 待ち望んでいた快感に、カムイは挿入された直後に何度目かの絶頂を迎えてしまう。それでも、マークスがカムイを穿つのは止まることは知らず、カムイを追い立てていく。いつも、マークスに身体を求められると、カムイはどうしようもなく身体の熱を高めてしまう。心臓が爆発してしまうのではと思うほど胸が高鳴り、身悶えてしまう。思わず、カムイがマークスから与えられる快感に無意識に逃げようと、寝台の上で身体ごとずり上がったが、マークスの両手がカムイの腰を掴み、逃げることは叶わなかった。そうなると、カムイは的確にいいところを突き上げてくるマークスの動きに耐えられなくなってくる。
 奥まで浸入され、自身が引き抜かれる瞬間が何度も続くと、カムイはたまらなくなってきて、マークスの腰を脚で抱くような体勢を取ってしまう。

「だめっ、あぁ、もっ……マークスさまぁ…!」
「…っく、カムイ……中に出すぞ…!」
「っは、あぁ…!」

 マークスに初めて抱かれた頃は知らなかったことだったが、ここのところカムイは彼に貫かれ、奥を突かれると、なんとも言えない快感を受け取るように身体が変化していた。
 マークスの太いものが奥を突いて、引いていく。それにカムイはたまらなくなって、足の指にぎゅっと力を入れた。

 じわじわと締め付けてくるカムイに、マークスは彼女の奥深くで欲を放つと、少し頭が冷えたのか、鎧姿のまま彼女を抱いてしまったということに気が付いた。
 まだ少し締め付けのあるそこに名残惜しそうに数回ゆっくりと突き上げたあと、マークスは自身を引き抜くと、いろんな蜜が混ざり合ったものがしたたり落ちてきた。
 胸を露わにして、余韻に浸っているカムイに、再び自身が熱くなりそうになったが、それをなんとか堪えると、マークスは自らの下穿きを整え、カムイの濡れたそこをそばにあった布で拭いてやる。

「あん……」

 拭いている途中、ざらついた生地が達したばかりの蕾を掠めてしまったらしく、カムイが甘い声を上げたが、マークスはそれを無視して、カムイの膣から精を掻き出すように指を入れて、拭ってやった。
 混ざり合った蜜の他に、また違うものも溢れてきたことに、マークスはくすりと口元を緩めつつ、それすらも甲斐甲斐しく拭う。

 それもしばらくすると、カムイは起き上がる体力もなくなってしまったのか、寝台の上で微睡み始めた。しかし、それには鎧姿のままでは思ったような睡眠は取れないと、マークスは彼女の胴を包む金具に触れて、脱がせてやる。

「……これは、胸の部分だけが合わぬと言ったな?」
「ふぁ……あ、はい…」
「よし、今度は間違わぬように言いつけておこう……それと、あまり露出はさせぬように言おう」
「マ、マークス様……」

 不思議な魅力で、同性だけでなく、異性すらも惹きつけてしまう彼女が、まだ何も知らなかった少女ではなく、女ということを知らしめてしまったら、良からぬことを考えてしまう輩もいるかもしれない。無論、次期暗夜王たるマークスの妻に手を出そうなどと、そのような不届き者はいるはずがないが、カムイを愛するマークスにとっては、彼女の溢れる魅力に気が付いてるからこそ心配もしてしまうのだ。
 鎧を脱がせて、彼女を裸にさせると、マークスはその白い身体にシーツを巻き付けて、頭を撫でてやる。
 その手つきにカムイの意識も段々とおぼろげになってくる。
 そんな彼女に、マークスはまぶたに口づけを落とすと、それが合図だったかのように、カムイは眠りのふちに降りていった。


 ついこの間まで、守るべき少女だと思っていた彼女が、ここのところ、マークスにとってとても魅力のある女にしか見えなかった。
 もっと、女としての魅力を溢れさせるカムイを見たいと思う反面、他の男を惹きつけないで欲しいと願う自分も心のうちには存在している。

 すやすやと眠る彼女のまぶたに再度唇を触れさせると、マークスは無防備な彼女に口元を緩ませる。
 今は、女としての魅力を見せてくれるだけでなく、こうして、何もかもを預けて眠る無防備な姿を見せてくれるだけでいいかと思いながら、彼は何度目かの口付けをするのであった。




ツイッターのフォロワー様の描かれたカムイちゃんのイラストを拝見させて頂いて、書いたものでした。
快く執筆許可くださったチョコラさん、ありがとうございました^^

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