唯(ただ)
時は深夜、所はカムイの自室である。広いベッドの上に横たわり、目の前で暑い暑いと言い出す妻を視界に入れながら、マークスはぼんやりとつい先ほどまでのことを思い返していた。
今日は、長く続いた戦にて勝利を収めることができたということで、皆でささやかな宴を楽しんでいた。あるものは歌い、あるものはその歌に合わせて踊り、またあるものは酒の飲み比べをしたりと、様々に宴を楽しんでいた。
戦が続けば、酒を飲んで日常から離れることも、なかなか難しくなる。だが、たまには皆でわいわいと酒を酌み交わし、日々の戦いの中で疲弊した心を癒すことも大切だ。だからこそ、勝利を収めたことで、宴を開いていた。
戦時中となると、酒もそれなりに値段が上がって来てしまうもので、あまり贅沢をすることは叶わないのだが、この日くらいは構わないだろう。
そう思って、マークスも皆のために宴を開くことを指示し、皆の疲れを癒すはずであった。
そう、そこから起きることは、彼は全く想像もしていなかったことだったのである。
宴が終わり、そろそろカムイの待つ部屋へと帰ろうかとマークスが思っていたころであった。
いつもは、カムイは皆を労って、宴の最後まで語り合ったりしているものだったが、今日の彼女は、これまでの行軍で疲労が溜まっていたのか、宴の途中から姿が見えなかった。できれば、そんなカムイを探しに行きたかったが、マークスは部下などの対応に追われて、中々彼女を探しに行けなかった。大方、部屋に戻ったか、カミラなど、他の者と一緒にいるのだろうと、思い込んでいた。
カムイが気になっていたことは本当のことだったのだが、あまりにカムイの行方を気にして、たまの宴くらい、友と語り合って、羽根を伸ばしてやりたいと思い、マークスは彼女を探すことを堪えていた。けれど、それが間違いだと気が付くのは、これより少し時間が経ったあとであったのだ。
カムイの部屋に戻ったマークスは、部屋に入るなり、何者かに飛びつくようにして抱きつかれた。その香りは嗅ぎなれた匂いで、甘い香りがマークスの鼻腔を満たす。
無論、その相手とは、妻であるカムイだ。
いつもは、しおらしくて、甘えて欲しいと言ってもなかなか甘えてくれないのが、このように抱きついてくれたことはあまりない。
「ど、どうした、カムイ…珍しいな」
マークスが思わずそう呟いて、カムイの背中を抱くが、当のカムイはというと、中々声を上げず、すりすりとマークスの胸に抱き付いて甘える。
「……マークスにいさん…」
「カムイ……?」
そのまましばらくして、やっと名を呼ばれたのでカムイを呼べば、彼女はどこか熱っぽい瞳をして、こちらを見上げていた。
その唇はふっくらと潤っていて、少しだけ唇を開けているからなのか、赤い舌が覗かせていた。
マークスに抱き付いていたカムイは、顔を上げてほんの少しだけ唇を突き出すと、そのまま瞳を閉じる。
まるで、口付けをねだるようなその体勢に、マークスの喉がごくりと鳴った。
「…キス、して下さい…」
「………」
そのまま愛妻が呟いた言葉に、マークスは彼女の頬に手をかけると、親指の腹でその尖った耳をなぞる。
こんなに甘えてくるのは珍しい。だが、その姿がとても嬉しいとマークスはカムイに顔を近づけて、その唇を奪う。
甘えてくるカムイが悪いのだと自分に言い聞かせ、マークスは唇を触れ合わせるのもそこそこに、彼女の唇を割ってその赤い舌を求めると、それを音を立てて吸い始める。互いの熱を増すような口付けに、マークスも、カムイも興奮を煽っていたと思う。彼女の舌を吸い、身体に手のひらを這わせようとしたところで、カムイがマークスから離れて、腕を取られて寝台へと招かれる。
「マークスにいさん。今日は、私がしたいんです」
「………ほう」
カムイから僅かに酒の匂いがしたことに、マークスは気がつきながらも、それを見なかったふりをして、カムイのしたいようにさせることにした。いつもは、マークスからカムイを誘い、彼女を抱き潰す勢いで抱いてしまうため、このようにカムイから誘うことは全くといっていいほど無かった。
カムイから床に誘われるということは、初めてだ。それゆえに、マークスは彼女の行動を制したりせず、そのままベッドへと向かう。
手のひらを取られ、ベッドに腰を下ろしたマークスだったが、その膝の上にカムイが乗ってきた。当然、カムイのほうがマークスよりも小さく、隣り合うと頭一つ分くらいの身長差はあるものだが、こうして座ってしまえば、大きな差はなくなる。膝の上に座ったカムイは、ほんのりと頬を赤く染めて、マークスのシャツを脱がし始める。
白い指先が釦を外す光景をじっと見ながら、マークスは自らが興奮し始めていることに気が付いていた。おそらくカムイは酔っているのだろうが、こうやって彼女が積極的になることは珍しいからだ。
釦を全て外したカムイが、マークスの腕からシャツの袖を取ると、彼の上半身を晒して行く。それに、マークスがカムイの服に手をかけて脱がそうとすると、彼女はいやいやと首を振る。
「だめ、だめです。今日は、私がするんです!」
「……そうなのか」
「そうですー!」
これは、カムイの好きなようにさせた方がいいかもしれない。とマークスは思っていると、カムイは彼の胸元に口付け始めた。
露わになった彼の胸板に唇を合わせはじめたカムイは、ちゅうちゅうと音を立てて口付けに夢中になっていた。しばらく、硬い胸板に口付けばかりしていたが、カムイはマークスを伺うように顔を上げる。
「…男の人も、おっぱい触られるのって、気持ちいいんですか?」
「……カムイは胸を触られると気持ちいいと思っていたのか?」
「そりゃあ、きもちいいですよぉ……マークスにいさんの手、おおきくて…さわられるとどきどきしちゃいます……」
間違いなく、酔っているらしいカムイの口から紡がれる王族らしからぬはしたない言葉に、マークスは少し気になったが、酔っているゆえなのだと見逃すことにして、カムイをじっと見つめている。
カムイは、マークスの厚い胸板にちゅっと口付けると、彼のその中心に食むように唇で挟んだ。普段、そんなところを触れられることのないマークスは、その感覚にびくりと腰を震わせる。
マークスが僅かに反応を見せたからだろうか、カムイは嬉しそうに笑って、ぺろぺろと乳首ばかりを舐めて、吸う。
「…ん…気持ちいい、ですか…?」
「……はぁ……あぁ。気持ちがいい…」
「よかった…マークスにいさんにこうやって、なめられるの、好きなんです…」
「……他には、どんなところを触られるのが好きなんだ?」
「え……?耳をさわられるのも好きだし…おっぱいをさわられて、揉まれると…きもち良くって……」
「…そうか。カムイ…そこはもういい。他を触ってくれないか?」
「んっ……はぁい…」
ぺろぺろと乳首ばかりを舐めていたカムイだったが、マークスの言葉に素直に頷くと、何かに気がつくように不思議そうな表情をした。何かあったのだろうかと思い、マークスがカムイの頬に手を這わせると、カムイはそのまま瞳を閉じる。
「あつい……」
「……暑い?」
「あつい、です……」
酔ってしまっているということもあるのか、カムイの身体の熱は上がってしまっていたようで、よく見れば彼女の頬も赤かった。
暑いならば、とマークスがカムイの服に手を掛けようとするものの、それもまたもやカムイはいやいやと拒否をすると、自らの服に手を掛けて、脱ぎ出そうとする。
さすがのそれには、マークスも少し驚いたが、きっと素面のままのカムイではしないだろうと、そのまま静観を続ける。ぱさりとベッドの下に一枚ずつカムイの服が降りていくのを、マークスはじっと見つめている。
露わになるカムイの肌は、これまでの戦闘で生傷は絶えなかったが、引き締まった身体に、マークスの手のひらにも余るほどのふっくらとした大きな胸は、とても惹かれるものがある。
そのまま、上半身を露わにさせたカムイは、マークスの胸板に手のひらを当てると、そのままにこりと微笑んだ。
「にいさん……だいすきです…」
そう言ったあと、カムイはマークスをベッドに押し倒すように身体に力を込めてきたので、マークスはそれに素直に押し倒されることにした。カムイがこうやって優位に立っているのも、今のうちだけで、最終的にはマークスが主導権を握るからだ。
そのまま、マークスはベッドに横たわると、カムイは彼の腰に座り、そのままとあることに気がついて、不思議そうな顔をした。
「んっ……なんか…」
そう言ったカムイは、腰をわずかにゆらゆらと揺らし始める。カムイはかなり際どいところに座っていて、それにマークスは僅かに眉間にしわを寄せた。
そして、カムイは感じた違和に気が付いたのか、マークスを見つめる。
「にいさん………なんか、おおきくなってますよ……?」
「………」
「んー……きもちよかった、ですか…?」
マークスの腰のあたりに座っているからなのか、カムイには、彼がこれまでのことに性的な欲求で身体を熱くさせていることを知られてしまった。ゆらゆらと腰を揺らすカムイのふとももが、マークスのスラックス越しに自身を掠めていくのを感じる。
マークスがカムイを感じて、身体を熱くさせるということが嬉しいのか、さらにカムイは彼の熱を煽ろうと腰を揺らしている。
「……いっぱい、きもちよくなってください…ね…?」
そういって、カムイは一度マークスの上から降りて、足元にちょこんと座ると、かちゃかちゃと音を立てながら、マークスのスラックスのベルトを外そうとした。
さすがのそれには、マークスも驚いてカムイを止めようとするのだが、きっと中々見れないであろうカムイの珍しい姿に、抵抗することをやめる。
「ふぁ……少しおおきくなって、ます……いっぱいきもちよくさせてあげます、からね…?」
「カムイ、待て……っ…!」
やはり、止めようかと思い、マークスが身体を起こそうとすると、それよりも早く、カムイはマークスのスラックスの前を寛げて、彼女の痴態に興奮して熱を溜めた自身を取り出した。まずは、下着の上からそれを撫でて、少し硬くなったそれを確認する。優しく撫でて硬さを増してやると、彼はびくりと腰を震わせた。
「あっ……おおきくなりました…これ、きもちいいんですか…?」
「……っ…カムイ…」
「いっぱい、いっぱい……マークスにいさんにきもちよくなって欲しいんです…」
カムイの指先で、言動で、何もかもが原因となりマークスの興奮は煽られていく。カムイが、下着の中から彼の猛ったものを取り出すと、まだ慣れない手つきながらも、そこを両手で撫で始める。
優しく撫でるばかりのカムイだったが、マークスはそれをもどかしく感じてしまう。ゆっくりと扱き始めたカムイであったが、快感を得られるにはまだ少し足りなかった。
それにカムイは気が付いたのだろうか、そのまましゃがみ込むと、マークスの自身を両手で支えて、そこを恐る恐る舐めた。
「…っ……」
カムイがこのようなことをするのは初めてで、マークスの腰が震える。だが、それを今更止めてやる気にはなれずにいた。素面ならきっとこんなことはしてくれないだろうと。
どこを触ればマークスに気持ち良く思ってくれるのか探しているカムイは、ひたすらにそこを舌でなぞり、唇でそれを食んだ。しばらくそうしていたものの、カムイはゆっくりとそれを口に含むと、その柔らかな唇で扱くように愛撫をし始める。
「…んっ、んくっ、きもひいい、れすかっ…?」
「……あ、あぁ。……んっ…」
「いっぱい…きもひよく、なってくらさい。ね…?」
「……っ…」
男の欲望を咥えながら話すものだから、当然言葉はうまく発音出来ていない上に、カムイの吐息がかかって、それがまた快感のひとつとなっていた。
舌先で、マークスの自身の先を撫で始めれば、彼はびくりと腰を震わせたあと、上体を起こし、カムイの頭に触れた。
「…カムイ、そ、それはやめてくれ…っ…ん…」
「きもひいい、れすか…?」
「あ、ああ。気持ちいい…だから、やめてくれ…」
「んっ…んくっ…」
「…っつ…!」
カムイの小さな舌がそこを執拗に撫でるたびに、マークスは腰のあたりにぞわぞわと電流が走るのを感じた。もう、これ以上カムイを許していたら彼女の口内に溢れる欲望を吐き出すことになってしまう。そう思ってやめさせようと思ったのだが、カムイの慣れなくてたどたどしい口淫が、マークスをどうしようもなく興奮させる。
カムイの頭に触れていた手で、マークスは思わず自身に押し付けるようにすると、思ったよりも喉の奥にいってしまったのか、カムイが苦しそうな顔をした。だが、もう止められない。
カムイの赤い舌がマークスの精を吐き出すそこを撫でている。それだけでは物足りなくて、マークスはカムイの頭を掴んで、まるで彼女の口を使って自慰でもするかのように腰を動かした。
「…んっ!んっ、んくっ…!!」
「っはぁ……カムイ。もう、出そうだ……」
「……んっ!」
柔らかな唇と、その舌に大きな快感を受けたマークスは、カムイの口内に勢い良く精を放った。そうして、小さな口から自身を抜いてやると、カムイは自らの口内に溜まった男の精を、こくんと飲み込んだ。
「お、おい…出していいのだぞ…飲むものではないだろう」
「んっ……の、飲んじゃいました…あっ、だめです、マークスにいさん。そのまま、寝ててください!」
「………」
カムイの喉が嚥下し、それがカムイの体内に入ってしまったことにマークスはどうしようもなく興奮していた。まだ、彼の自身は興奮状態から抜け切ってはいない。
またもや、カムイはマークスを押し倒すと、彼女は中途半端に脱いでいた服を脱ぎ出し、何も身に纏わぬ姿になった。
「…いっぱい、きもちよくさせてあげますから…ね?」
そう、彼女は清廉な顔を赤く染めて、マークスだけに見せる妖艶な笑みを浮かべると、彼の腰元に座り、まだ猛りを見せているそれを片手で支えると、これまでの愛撫で濡れていた入り口にあてがった。
「ん、ん……」
少し、吐息を漏らしながらカムイは腰を下ろしていくと、彼女の暖かい中に包まれたことを感じた。何も愛撫していなくても、潤ったそこはいつものようにきつく、マークスを煽らせた。
そうして、カムイはそれを全て収めると、ゆっくりと腰を上げて、それをゆっくりと重力に任せて腰を落とす。
「…んっ、はぁ……」
いつも、マークスによって誘われる快感までたどり着きたくて、カムイは夢中で腰を動かす。しかし、中々思うようには快感が得られず、カムイはもどかしそうにため息をつく。
そんな彼女に、マークスは眉間にしわを寄せると、そっと下から突き上げて、カムイを揺さぶってやる。するとカムイは小さく悲鳴を上げて、マークスの割れた腹筋に手をついた。
「あっ、だ、だめ……」
「…駄目なのか?もっと気持ち良くなりたいのではないのか?」
「んっ、あぅ…」
頑なに、マークスが手を出すことを拒否していたカムイであったが、そろそろ限界だろうと彼は思うと、ゆっくりと腰を突き上げて、カムイを翻弄し始める。これまで、どこか強気でいたカムイであったが、マークスによって突き上げられた途端、心細そうに眉を寄せて、動けずにいるようだ。
そろそろ、こちらの番だとマークスはにやりと頬を緩ませると、上体を起こし、カムイの腰を抱いたまま、突き上げ始める。
すると、カムイは泣きそうな顔をして、マークスに抱きつく。
「あっ、あ、あぁ…いや…」
「…っは…。カムイ、嫌なのか?」
「…お、おく、やめて、ください…」
「奥が……どうしたんだ?」
「き、きもちいい…おかしくなっちゃいそう……!」
「いいんだぞ、おかしくなっても……私の手で乱れるおまえは…美しい」
「あぁん…!」
マークスの耳元で、カムイが快感に喘いでいることを感じられる。こうやって、カムイが乱れるところを見るたびにどうしようもなく溺れてしまう。もっと彼女の奥を穿って、翻弄させてしまいたいと思ってしまう。
皆の前では精錬で、美しい雰囲気を纏うその女は、夫であるマークスの前だけでは、こんな風に快感に喘ぎ、腰を揺らしていると思うだけで、マークスは彼女をどうしようもなく感じてしまいたくなる。
カムイを突き上げてしばらく、彼女が僅かに涙混じりにマークスにしがみつくと、限界が近付いて来ることを感じる。
「…もうっ、だめです、いっちゃう…!」
「あぁ……一緒に…な?」
「あっ……!!」
いつもより深いところで繋がったからだろうか、カムイは先に果てて、それにマークスも後を追うように突き上げると、彼女の一番奥でその欲を吐き出した。
酔っているところに、熱く肌を合わせたからだろうか、カムイは意識がぼんやりとしてきて、そのままマークスと繋がったままベッドに倒れ込みそうになる。
それに、マークスはカムイの腰を抱いて止めるものの、そのままカムイは意識を飛ばしてしまった。
■
翌朝、目を覚ましたカムイは、自らの頭が痛むのを感じながら、額を抑えた。
ぼんやりと瞳を開けると、きょろきょろと辺りを見渡して、自分がベッドの中にいたことに気がついた。
「…おはよう、カムイ。気分はどうだ?」
「…あ…マークス様。おはようございます…なんだか、頭が痛くって……」
「……後から他の者から聞いたが……夕べは酒を飲まされすぎたみたいだな?」
「へ……?」
「……夕べのことを覚えていないのか?」
ベッドの中で、カムイはマークスに抱かれていたことに気がつくと、彼の手のひらに髪を撫でられながら、何が起きたのかわからないと言った様子で眉間にしわを寄せるのだが、カムイは今の自分の格好に気がついて、冷や汗をかく。
カムイは今、何も身に着けていなかったのだ。
普通に就寝したならば、何も着ていないということはないだろう。ということは、服を脱がされるような何かをしたということだ。
表情を硬くさせるカムイに、マークスはにやりと笑う。
「…ふふ…夕べのおまえも中々いいものだった……だが、あの様な姿は……私だけに見せるのだぞ。おまえが甘え、縋り付く姿を見せるのは……この私だけであればよい」
「…マークス、様……」
彼の低い声がカムイの鼓膜に響いて、その声に、背筋にぞくりとした何かが走るのを感じた。
そうして、マークスはカムイの耳元に触れると、そのままするりとカムイの髪を撫でた。
「…ただ、今度から酒を飲む時は……私のそばにいなさい。酒に弱いおまえが、酔わされて何者かに連れ去られたりでもしたら、大変だ」
「え、さ、さすがに…そんなになるまでは飲みませんよ…!」
「……これを見ても、そう言えるのか?」
「うっ……き、気を付けます……」
「ああ、それでよい…」
何よりも大切な人だから、マークスは心配になってしまう。大事で、愛おしい何にも欠かせない女だ。お互いに裸であることを指して言えば、カムイは真っ赤になって、うつむいた。
正直、カムイが夕べのことを覚えていないということは、残念なことである。しかし、今度はカムイが自らあのような姿を見せるまで、愛し尽くしてやろう。
そんなことを思いながら、マークスは彼女の額に口づけを落とすのだった。